ある日、おじいさんとおばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきた。 おじいさんは桃を拾って家に持って帰ることにした。
「これは珍しいわね。さっそくこの桃をいただきましょう」 おばあさんが包丁で桃を切ろうとしたとき、中から元気な男の子が飛び出してきた。
「わたしは桃から生まれたから、桃太郎と呼んでください」
おじいさんとおばあさんは突然の出来事に驚いたが、子供が欲しかったので、喜んで桃太郎を自分たちで育てることにした。
桃太郎はすくすくと育ち、やがて強くて勇敢な青年となった。 ある日、鬼ヶ島に住む鬼たちが村人たちを苦しめていることを聞きつけた。
「わたしは鬼ヶ島に行って鬼退治をします」
桃太郎は決意した。 おばあさんはきびだんごを作って桃太郎に持たせてくれた。 そして、犬と猿とキジが仲間になり共に鬼ヶ島に向けて旅立った。
途中で出会った鬼たちは桃太郎とその仲間の強さに圧倒され、桃太郎に降伏した。 鬼ヶ島に着いたら、そこには一匹も鬼が見当たらなかった。
「どうしたんだ? 鬼はどこへ行った?」 桃太郎は不思議に思った。
すると、島の奥から声が聞こえてきた。 「ようこそ、桃太郎さん。わたしたちはあなたを待っていました」
声の主は老いた姿をした鬼だった。鬼は笑顔で言った。 「実はわたしたちは鬼ではありません。鬼の姿をしていますが、わたしたちは地球外生命体です。この星では人間よりも強くて賢い存在だと思われるように装ってきただけです」
桃太郎は驚いた。 「えっ? じゃあ村人たちを苦しめていたのも……」
老いた鬼は続けて言った。 「それは演技です。実際に殺したり奪ったりしたことはありません。ただ人間の反応を観察するために恐怖心を煽っただけです」
桃太郎はわけがわからず困惑した。 「どうしてそんなことをするんだ」
老いた鬼は桃太郎を見つめて言った。 「それはね……実はあなただけが特別な存在だからです」
老いた鬼は真剣な表情になり続けて言った。 「あなたはこの星で生まれ育った地球外生命体です。あなたもわかっていますよね? あなたが普通の人間ではないことを 」 老いた鬼は指さしました。そこにはおじいさんとおばあさんが縛られて泣いている姿がありました。
「 どういうことだ!?」 桃太郎は慌てて叫んだ。
老いた鬼は冷たく言った。 「あなたはわたしたちの実験体なのです。あなたは桃から生まれたのではありません。わたしたちが桃に仕込んだ卵から孵ったのです。あなたはわたしたちと同じ種族です」
「そんな……」 桃太郎は鬼の言う事が信じられなかった。
老いた鬼は続けた。 「わたしたちはこの星に来てからずっと、あなたを観察してきました。あなたがどうやってこの星に適応するのか、どうやって人間と交流するのか、どうやって感情を発達させるのか……わたしたちの目的を達成するためにはそれを知る必要があったのです」
「目的? 目的とはなんだ?」 桃太郎は老いた鬼に詰め寄った。
「それはね……この星を征服することですよ」 老いた鬼はにやりと笑った。
「わたしたちはこの星に長く住むことができません。この星の環境に上手く適応することができません。でも、あなただけが違います。あなただけがこの星に完全に適応できる唯一の個体です。だから、あなただけがこの星を完全に支配できる唯一の存在です」
「何を言っている!? わたしはそんなことしない! わたしは人間だ! おじいさんとおばあさんが家族だ!」 桃太郎は激しく抵抗した。
老いた鬼は首を振った。 「残念ですね。でも、もう遅いのですよ。あなたはもう逆らえませんから」
老いた鬼はボタンを押した。 すると、桃太郎の頭に激痛が走りました。
「いっ!? 何を……」 桃太郎は苦しみはじめた。
老いた鬼は説明した。 「これは覚醒装置です。これであなたの中に眠る支配者としての遺伝子が目を覚まします。あなたはこの星の王となるのです」
桃太郎は必死に抵抗しようとしたが、次第に力が抜けていった。 「やめて……やめてくれ……おじいさん……おばあさん……」
桃太郎の声は小さくなり、やがて消えてしまった。
老いた鬼は満足そうに笑いました。 「さあ、行きましょうか、桃太郎様。新しい世界を作りましょう」
桃太郎は不気味な笑みを浮かべていた。 そして、彼らは手を取り合って島を出発した。
その後、村では桃太郎たちが帰ってこなかったことで大騒ぎになった。 しかし、誰も彼らの行方を知る者はいなかった。
-終わり-