雑ログ

色々試したりしてます

監視

マイナンバーカードを作ったの。」と妻が言った。

「へえ、それで何ができるの?」とエフが聞いた。

「色々だよ。税金や年金、医療や福祉などの手続きが簡単になるし、マイナポイントももらえるし、要するにスマホだけで何でもできるようになるんだって。」

「そうか。便利な時代になったもんだね。」

夫は興味なさそうにテレビを見ていた。

妻はマイナンバーカードを手に持って、スマホでアプリをダウンロードした。

アプリを開くと、マイナンバーカードの裏面にあるICチップをスマホに近づけるよう指示された。

妻は従った。

すると、スマホアプリの画面に自分の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別、個人番号が表示された。

「おお、すごいね。これで私の情報が一目瞭然だわ。」

妻は喜んだ。

「ふーん。」とエフは相槌を打った。

妻はスマホの画面を見ていると、下の方に小さく「その他の情報」という項目があることに気づいた。

「あれ?その他の情報って何かしら?」

妻は好奇心からタップした。

すると、スマホの画面に驚くべき情報が次々と表示された。

  • 血液型:A型
  • 身長:160cm
  • 体重:55kg
  • BMI:21.5
  • 血圧:120/80
  • 心拍数:70
  • 健康診断結果:異常なし
  • 遺伝子検査結果:特定疾患の発症リスク低
  • 学歴:大学卒業
  • 職業:主婦
  • 所得:0円
  • 貯金額:100万円
  • 資産額:500万円(エフ名義)
  • 借金額:0円
  • 保険加入状況:国民健康保険国民年金・火災保険・自動車保険・生命保険(エフ名義)
  • 犯罪歴:なし
  • 違反歴:なし
  • 婚姻歴:1回(現在)
  • 配偶者情報:エフ・40歳・会社員・年収500万円・個人番号1234567890123
  • 子供情報:息子・10歳・小学生・個人番号2345678901234

妻は呆然とした。

自分の知らないところで、こんなにも詳細な情報が収集されていたのか。

しかも、夫や息子の情報まで。

これは便利なカードではなく、恐ろしい監視カードではないか。

妻は怒りと恐怖で震えた。

「どうしたの?顔色が悪いよ。」とエフが心配そうに言った。

「これ見てよ。私たちの情報が全部あるの。こんなに詳しく。これってプライバシーの侵害じゃないの?」と妻はスマホをエフに見せた。

エフはスマホを見て、驚いたような顔をした。

「えっ、本当だ。これはひどいな。こんなこと許されるわけないじゃないか。」

「そうでしょ?私たちは国に監視されてるんだよ。これは訴えなきゃ。」

妻は憤慨した。

「でも、どこに訴えればいいんだろう?国が既にやってることだから、裁判所も警察もダメかもしれないよ。」

エフは困惑した。

「じゃあ、メディアに知らせるしかないわ。テレビや新聞やネットに騒ぎ立てれば、国も動かざるを得なくなるでしょ。」

妻は決意した。

「そうだね。それが一番かもしれないね。」

エフは同意した。

妻はスマホを持って、テレビ局に電話をかけた。

しかし、電話に出たのは自動音声だった。

「お電話ありがとうございます。こちらはNKHです。お客様の個人番号を入力してください。」

妻は驚いた。

「個人番号?何で?」

妻は不審に思ったが、仕方なくスマホの画面から自分の個人番号を入力した。

すると、自動音声が続けて言った。

「お客様の個人番号は1234567890123ですね。ご契約状況を確認します。」

妻はさらに驚いた。

「契約状況?何の契約?」

妻は不安に思ったが、自動音声が続けて言った。

「お客様は現在NKH受信料の未払いがありますね。ご請求金額は10万円です。今すぐお支払いください。お支払い方法はクレジットカードか口座振替です。どちらにしますか?」

妻は呆れた。

「何言ってるの!受信料は払わなくてもいいって法律で決まったじゃない!それに今電話したのは受信料のことじゃなくて、マイナンバーカードの問題なんだけど!」

妻は怒鳴った。

しかし、自動音声は聞く耳を持たなかった。

「お客様、大声で叫ばないでください。それでは通話を終了します。ご協力ありがとうございます。」

自動音声がそう言うと、電話が切れた。

妻は呆然とした。

「信じられない・・・NKHも国とグルだったのね・・・」

妻は絶望した。

エフも同情した。

「残念だったね・・・他のメディアに試してみるか?」

エフは提案した。

妻は頷いた。

「そうね。他のメディアに試してみよう。」

妻はスマホを持って、新聞社に電話をかけた。

しかし、電話に出たのは自動音声だった。

「お電話ありがとうございます。こちらは朝目新聞です。お客様の個人番号を入力してください。」

妻は呆れた。

「またかよ・・・」

妻は仕方なくスマホの画面から自分の個人番号を入力した。

すると、自動音声が続けて言った。

「お客様の個人番号は1234567890123ですね。ご購読状況を確認します。」

妻はさらに呆れた。

「購読状況?」

妻は不快に思ったが、自動音声が続けて言った。

「お客様は現在朝目新聞の購読者ではありませんね。朝目新聞は日本で最も信頼される新聞です。政治や経済、社会や文化などの最新ニュースや深い分析をお届けします。今なら特別キャンペーンで初月無料です。購読を申し込みますか?」

妻は怒った。

「何言ってるの!購読する気もないってば!それに今電話したのは購読のことじゃなくて、マイナンバーカードの問題なんだけど!」

妻は怒鳴った。

しかし、自動音声は聞く耳を持たなかった。

「お客様、大声で叫ばないでください。それでは通話を終了します。ご協力ありがとうございます。」

自動音声がそう言うと、電話が切れた。

妻は呆然とした。

「信じられない・・・朝目新聞も国とグルだったのね・・・」

妻は絶望した。

エフも同情した。

「残念だったね・・・他のメディアに試してみるか?」

エフは提案した。

妻は首を振った。

「もういいわ。他のメディアも同じだと思う。どこも国の言いなりになってるんだから。」

妻は諦めた。

「じゃあ、どうするの?このまま国に監視され続けるの?」

エフは不安になった。

「そうね・・・でも、私達にできることなんてないわ。国に逆らえるほど強くないし、逃げる場所もないし・・・」

妻は無力感に苛まれた。

「そうか・・・じゃあ、これからは何も言わないで、何も考えないで、何も感じないで生きていくしかないのね・・・」

妻は涙を流した。

エフは妻を抱きしめた。

二人して悲しみに沈んだ。

その時、スマホが鳴った。

妻はスマホを見て、驚いた。

「えっ、これ何?」

妻はエフにスマホを見せた。

スマホの画面には、次のように表示されていた。

「おめでとうございます!あなたはマイナンバーカードの問題に気づくことができました!これは国が行っている社会実験の一環です。実際にはマイナンバーカードには個人情報が入っておらず、プライバシーの侵害もありません。この実験は国民の自由意志や批判精神を測る目的で行われました。あなたは見事に合格しました!ご協力ありがとうございます!」

妻とエフは呆然とした。

「これって・・・冗談?」

妻が呟いた。

すると、スマホから声が再生された。

「冗談ではありません。これは真実です。あなた方は素晴らしい国民です。国から感謝と賞賛を申し上げます。」

-終わり-