雑ログ

色々試したりしてます

選択の果て

エフは自分の人生に満足していなかった。 彼は仕事も恋愛も家庭も何もかも中途半端にしてきた。 いつも自分が本当に望んでいることがわからず、選択肢の中からとりあえず最善だと思われるものを選んできた。 しかし、その結果は彼を幸せにしなかった。

ある日、エフは不思議な本屋に迷い込んだ。 そこで彼は「あなたの人生を変える本」というタイトルの本を手に取った。 その本は彼の名前と生年月日が書かれており、中身は空白だった。

すると店主が現れて言った。「これはあなた専用の本です。 この本にはあなたが今までした選択とその結果が記録されます。 そして、あなたがしなかった選択とその結果も見ることができます」

エフは興味を持って本を開いてみた。 するとそこには彼が今までした選択が時系列に並んでおり、それぞれにその結果が書かれていた。 例えば、「大学進学」という選択に対して、「知識や友人を得る」という結果や、「就職難や借金」という結果が書かれていた。

そして、それぞれの選択の下には「別の選択」という項目があり、そこでは彼がしなかった選択とその結果が書かれていた。 例えば、「大学進学」ではなく「就職」という選択に対して、「安定した収入や社会的地位」という結果や、「退屈な仕事やストレス」という結果が書かれていた。

エフは驚きながら本を読み進めていった。 彼は自分がした選択よりもしなかった選択の方が良い結果だった場合や、悪い結果だった場合を見つけて感嘆したり後悔したりした。

そして彼は気づいた。「この本ではどんな選択でも必ず良い面と悪い面があることを示しているんだ」と。 彼は自分の人生を変えようと思ってこの本屋に来たけど、この本ではどんな人生でも同じように幸せや不幸せが混在していることを教えられただけだった。 しかし、彼はまだ諦めなかった。 彼はこの本に自分の未来が書かれていると信じていた。 彼はこの本から自分がこれからするべき選択とその結果を教えてもらおうと思った。

彼は本を最後まで読んだ。 するとそこには「あなたの最後の選択」という項目があり、そこには二つの選択肢が書かれていた。

「この本を持って帰る」と「この本を置いて帰る」だった。

彼はどちらが良い結果につながるか知りたくて、その下に書かれている結果を見ようとした。 しかし、そこには何も書かれていなかった。

彼は店主に尋ねた。「最後の選択の結果はどこに書かれていますか?」

店主は微笑んで言った。「それはあなただけが知ることです。 あなただけが決めることです」

エフは混乱した。「でも、どうすれば良いかわからないんです」

店主は首を振って言った。「それもあなただけが知ることです。 あなただけが決めることです」

エフは困惑した。「でも、どちらが正しい選択なんですか?」

店主は何も答えなかった。

エフはしばらくの間沈黙した。

彼はこの本から何も教えてもらえないことに気づいた。

-終わり-